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文献概要

研究と報告

治療的働きかけへの反応の仕方にもとづく精神分裂病圏患者の臨床的類型化の試み—「自己啓発型精神分裂病患者群」と「役割啓発的接近法」の提唱(第1報)

著者: 宮内勝1 安西信雄1 太田敏男2 亀山知道3 浅井歳之4 池淵恵美1 増井寛治5 小澤道雄4 染谷俊幸6 原田誠一1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2埼玉医科大学精神医学教室 3東京逓信病院健康管理センター 4帝京大学精神科学教室 5東京都立松沢病院 6滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.1297 - P.1307

 抄録 本論では治療的働きかけへの反応の仕方により精神分裂病圏患者を2大別できることを述べた。すなわち,具体的で断定的な働きかけが奏効する群(「他者依存型精神分裂病患者群」)と混乱をひきおこす群(「自己啓発型精神分裂病患者群」)とに分けた。両者は働きかけへの反応の仕方のみでなく,いくつかの重要な臨床的所見において対照的な特徴を有していた。第1に,社会生活上必要な判断能力の体得の仕方にそれぞれ特徴があった。第2に,陽性症状,現実逃避的・誇大的空想,身体的愁訴,気分変動,「問題行動」,対人的態度などの臨床症状において差異が認められた。第3に,「自己啓発型精神分裂病患者群」は単純に模式化できる病態を示した。これらの特徴から両者は治療の早期に判別できることを述べた。本類型化が精神分裂病圏患者群の治療にいかに有益かは続報で述べる。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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