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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻12号

1987年12月発行

文献概要

研究と報告

基礎疾患からみたCapgras症候群—症例報告とわが国の文献展望

著者: 井上和臣1 忠井俊明1 南川節子1 有賀やよい1 中嶋照夫1 加藤伸勝2

所属機関: 1京都府立医科大学精神医学教室 2東京都立松沢病院

ページ範囲:P.1319 - P.1326

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 抄録 Capgras症候群の3例を報告した。これらはいずれも基礎疾患を異にしており,症例1は精神分裂病(妄想型)の,症例2は退行期うつ病の経過中に,症例3は前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血後にCapgras症候群を認めた。症例1では取り替えの対象が夫や子供だけにとどまらず,医師や建物にまで拡大し,さらに,取り替えを説明する形での妄想の加工がみられた。症例2でも対象の拡大はみられたが,とりわけ患者の経営する学生寮の学生が行方不明になったという妄想が顕著で,これに罪業妄想と貧困妄想を伴っていた。これに対し,左前頭・頭頂葉に梗塞巣を有した症例3では対象は夫だけに限定され,他の2例のような妄想的加工は生じなかった。症例1,3にわが国での報告例28例を加えた30例について,基礎疾患の差異がCapgras症候群の病像と持続期間にどのように影響するかを比較検討した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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