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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻12号

1987年12月発行

文献概要

短報

長期にわたり経過を観察したChorea-acanthocytosisの1例—精神神経症状および検査所見の推移について

著者: 白石孝一1 高橋祥友1 大久保善朗2 望月阿南3 福澤等1 假屋哲彦1

所属機関: 1山梨医科大学医学部精神神経医学教室 2東京医科歯科大学医学部神経精神医学教室 3峡西病院

ページ範囲:P.1345 - P.1347

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I.はじめに
 末梢血液中に有棘赤血球(図)の出現をともない,多彩な精神神経症状をきたす疾患にChorea-acanthocytosis(以下C-Aと略す)が知られている1)。この疾患は次のような特徴がある。1)家族発生,2)若年成人期発症,3)神経症状として,a.不随意運動 b.筋緊張低下・深部腱反射減弱 c.口部自咬症 d.てんかん発作,4)精神症状として,a.性格変化 b.痴呆(程度は軽く,正常知能にとどまる例も多い) c.精神分裂病様または躁うつ病様症状,5)検査所見として,a.有棘赤血球症 b.血清脂質は正常範囲 c.CPK上昇 d.頭部CT-スキャンで尾状核萎縮像 e.軽度の末梢神経障害・筋原性変化。
 従来C-Aの多彩な症状の推移を長期間にわたって精神医学的観点から扱ったものはほとんどなく,また有棘赤血球の末梢血液中における出現率をはじめとして,各種の検査所見の変化を追跡検査したものもない。以前,高橋ら6)が報告したC-Aの1例について,その後の長期経過を観察し(約10年間),その多彩な精神神経症状および検査所見の推移を比較することができたのでここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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