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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻2号

1987年02月発行

文献概要

研究と報告

いわゆるマタニティブルーの調査—その2.性格要因

著者: 池本桂子1 飯田英晴1 菊地寿奈美1 高橋三郎1 高橋清久2

所属機関: 1滋賀医科大学精神医学講座 2国立精神・神経センター神経研究所

ページ範囲:P.147 - P.154

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 抄録 マタニティブルーと性格要因との関連を検討するため,1,047名の産婦に対して,Zung自己評定式抑うつ尺度(ZSDS)特性不安,強迫性傾向,神経質,未熟性の5種の心理尺度を産後3〜4日目に施行し,これら相互間および産後の身体症状,妊娠中の精神身体症状との相関を分析した。調査対象全体では,抑うつ尺度は特性不安,強迫性,神経質,未熟性とそれぞれ有意に相関し,このうち重回帰分析では,神経質さと最も高い相関があった。特に36歳以上の産婦では,性格要因より身体症状が抑うつと強い相関を持ち,また,ZSDS高得点群では身体症状との関連が強かった。この群は初産婦が多く,未熟性がやや高く,年齢も高い傾向があった。対照女子学生群との比較によっても,マタニティブルーは,神経質さと最も強く相関するが,身体症状との相関が更に高く,マタニティブルーとは産後の身体的不調を背景として起こしているものとは思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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