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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻2号

1987年02月発行

研究と報告

脳卒中後遺症患者のリハビリテーションによる身体機能と精神機能の回復に関する研究

著者: 田中恒孝1 望月秀郎2 藤田勉2 種村純3 石神重信4

所属機関: 1国立小諸療養所 2リハビリテーションセンター鹿教湯病院 3伊豆韮山温泉病院 4防衛医科大学リハビリテーション部

ページ範囲:P.175 - P.182

文献概要

 抄録 脳卒中後3カ月以内に入院しリハを施行し得た47例につき,身体機能と精神機能の回復過程を調べた。精神機能を知性面と情意面に分け評価尺度(ともに20点満点)を作成,経時的に評価した。精神機能は入院後2ヵ月(発症後4ヵ月)までは急速に改善し,その後は緩徐であった。移動機能に基づき,入院前から歩行可能であった9例(第Ⅰ群),入院後に歩行自立した12例(第Ⅱ群),歩行非自立26例(第Ⅲ群)に分け,精神機能の回復状況を比較した。第Ⅱ群の回復は著しく,知性。情意面とも入院後2カ月間で急速に改善した。第Ⅰ群も同様の傾向を示した。一方,第Ⅲ群においては機能全般に回復が悪く,この群には高齢者,身体的合併症や半側空間失認を持つ重症患者が多かつた。以上の結果から,脳卒中後の経時的精神機能観察は治療や予後判定に重要であること,さらに精神機能と身体機能の回復が相補的に働いている可能性を指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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