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短報
バルプロ酸の短期記憶機能に及ぼす影響について—Sternbergの課題を用いて
著者: 中込和幸1 永久保昇治1 福田正人1 斎藤治1 亀山知道1 平松謙一1 安西信雄1 丹羽真一1 伊藤憲治2
所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2東京大学医学部音声言語医学研究施設
ページ範囲:P.209 - P.211
文献購入ページに移動我々は先にSternbergの課題を用いてバルプロ酸(VPA)単剤を服用中のてんかん患者と正常者で短期記憶機能を比較し,てんかん患者において正反応時間の延長を認めたが,短期記憶検索速度については差を認めなかったことを報告した1)。そこで今回,てんかん患者のVPA服用量を高用量と低用量に違えて2回実験を行い,課題遂行成績,正反応時間および短期記憶検索速度に対するVPAの影響を検討した。
Sternberg(1966)の課題では,被験者はまず,提示される短い項目を記憶する(memory set)。次に,続いて提示される1個の刺激(probe)が記憶した項目の中にあるか否かをできるだけ速く,正確に判断し反応することを要求される。通常,刺激としては0から9までの数字が,反応の指標としては正反応に対する反応時間が用いられる。Sternberg(1966)によれば,memory set sizeの増大に応じて反応時間が直線的に延長することから短期記憶の検索速度を求めることができる2)。
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