icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻3号

1987年03月発行

展望

アタッチメントと社会性の発達—正常と異常(第1回)

著者: 作田勉1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.230 - P.236

文献概要

Ⅰ.正常発達
1.はじめに―マターナルデプリベーション
 近年,人間の精神的,身体的発達と親子関係の間には密接な関係があることが見出されてきた。その基本となる概念がマターナルデプリベーションであり,愛着行動である。まず,マターナルデプリベーション(母性遮断,母性剥奪,母親剥奪)の概略を以下に記す。
 Bowlby, J. が1951年に,乳幼児期における母親の愛情は,ビタミンやタンパク質が身体の健康に不可決であるのと同様に心の健康にとって重要である,と述べ,母性的養育の剥奪(母性遮断)が子供の精神と肉体におよぼす悪影響について総括した。それ以前にも若干の類似の研究や,アナクリティック・デプレッションの研究もあるが,母性遮断についてもっとも大きな影響をおよぼしたBowlby15,18,19,142)と,その後の諸研究ならびに自己の研究を総合して報告したRutter, M. 127)の両名を省略することはできない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら