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研究と報告
いわゆる心気症の2態—学習心理学の立場からの検討
著者: 前田久雄1 葛原素夫1
所属機関: 1佐賀医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.237 - P.242
文献購入ページに移動 抄録 多彩な心身の故障を長期にわたり執拗に訴える,いわゆる心気症と呼ばれる病態は,疾病に対する恐怖の有無によって2態に分けられることを,コンフリクトの概念(Lewin, K.)をも含んだ学習心理学的立場から論じた。その結果は,疾病への恐怖を中核とするものを心気症とし,そうでないものは身体化障害の範ちゅうにはいるものとする近年の傾向を支持した。疾病恐怖を持つ1症例では,疾病に対する合理的な条件反射性の不安が,ヒポコンドリー性体験によって強化され,さらにこれが精神交互作用によって連続的に再強化されるintrapersonalな過程が,症状の発現,持続の機序をなしていると考えられた。疾病恐怖を伴わない1症例では,接近・回避性コンフリクトに起因した不安が,身体症状の発現による一次性,二次性疾病利得によって軽減するという,第三者が介在したinterpersonalな強化事態によって発症すると考えられた。このような2態においては,当然治療法も異なってくることを示唆した。
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