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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻3号

1987年03月発行

研究と報告

皮膚寄生虫妄想に関する一考察

著者: 山下剛利1

所属機関: 1徳島大学医学部附属病院精神科神経科

ページ範囲:P.243 - P.252

文献概要

 抄録 皮膚寄生虫妄想の文献例100例の現象学的分析と著者の治療法によって得られた知見をもとに,本疾患の病理・病因について検討した。①発症年齢は16〜84歳。平均年齢は57歳。男女比は2対3。「虫」の大きさはmm単位以下で,色は白または黒が多い。大きな動物の出現する場合は幻覚と思われ,その原因は粗大な脳器質疾患が考えられる。「虫」が体内にいると訴える場合は,主として分裂病その他の精神病が推定される。②本疾患の主病変は感覚中枢における機能構造的変化であり,これが触・視覚系の生理的錯覚を病的錯覚に至らしめたものと考えられる。③感覚中枢が制御不全となって病的安定構造が形成されたとき,自己修復が困難となり,その結果として,病的錯覚が堅固に持続することになったものと思われる。④制御不全の原因は,感覚中枢に対し機能構造的に影響を及ぼす疾患,とりわけ脳器質疾患が重要視されるが,組織破壊を来す疾患は本症を発現しないものと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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