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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻3号

1987年03月発行

文献概要

研究と報告

入院中の精神疾患患者における遅発性ジスキネジアに関する研究

著者: 阪本淳1 小田代司1 小高晃1 猪俣好正1 白取博志1

所属機関: 1宮城県立名取病院

ページ範囲:P.253 - P.264

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 抄録 宮城県立名取病院に入院中の全患者314名を対象に,遅発性ジスキネジア(以下TD)の出現頻度や発症に関与する要因についての調査を行った。症状の評価はAIMSを用い,診断にはNIMH(1982)の基準を用いた。
 その結果314名中24名(7.6%)がTDと診断された。TD群と対照群との間で従来からTDとの関連が示唆されてきた,いくつかの項目について比較した結果,高年齢化がTDの発症および症状の非可逆性に関係すること,症状の重症度については性別およびTD以外の錐体外路症状の合併が関係することが推測された。抗精神病薬との関連についてはTD群と対照群の間に差が認められなかったので,抗精神病薬非服用老人35名についてAIMSを施行した結果,2名(5.7%)のみに明らかなTDの症状を認めた。この出現頻度を同年齢帯域に属する抗精神病薬服用群のTDの出現頻度と比較した結果,服用群で有意に高く,TDの発症と抗精神病薬との間の関係が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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