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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻3号

1987年03月発行

文献概要

短報

精神分裂病と甲状腺障害を合併した一卵性双生児例

著者: 柴田恵理子1 渡辺雅幸1 坂井田四郎1 中澤恒幸1

所属機関: 1藤田学園保健衛生大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.333 - P.336

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I.はじめに
 我々は一卵性双生児の姉妹がともに甲状腺障害と精神分裂病症状とを呈した症例を経験した。精神症状の病因として甲状腺障害による症状精神病2,8,13)の可能性も否定できないが,精神症状の内容が幻聴,考想化声,被影響体験などの一級症状を有する分裂病症状であり,また明確な遺伝負因(父親が精神分裂病)が存在することから,姉妹の精神症状は精神分裂病によるものと診断した。姉妹の精神症状は類似点も多いが,姉は分裂病発症前にeating disorderの症状を呈したのに,妹はかかる症状を呈さないなどの相違点も存在した。本症例は一卵性双生児の姉妹が双方とも,①甲状腺機能障害と②精神分裂病とを発症したが,一方,③姉のみが精神分裂病症状に先行してeating disorderを発症した経過をたどり,以上の点で興味深い症例と考え,ここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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