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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻4号

1987年04月発行

研究と報告

分裂病の認知・行動と事象関連電位のP300成分(Ⅰ)—課題遂行方略の特徴と組織制御系の機能の問題点

著者: 秋本優1 平松謙一1 福田正人1 丹羽真一1 亀山知道1 斎藤治1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.361 - P.371

文献概要

 抄録 認知・行動の基本的機構における分裂病の問題点を整理する目的で「検査室場面での課題遂行」の特徴をまとめ2部に分けて報告した。具体的には,「三音弁別課題」遂行時の事象関連電位のP300成分の振幅・潜時と反応時間を,DSM-Ⅲの基準に合致する9名の軽症分裂病男性患者(平均28.2歳)と9名の男性正常対照者(平均28.6歳)について測定した。第Ⅰ部(本稿)では次の特徴を報告した。(1)正常群では高頻度非目標音によっても潜時約400ミリ秒のP300成分がCz優位に出現したが患者群では出現しなかった。これは患者群では課題無関連刺激を文字どおり無視するという不利な方略を採用するためで冗長性利用に問題があると考えられた。(2)患者群では目標音に対する無反応が有意に多かった。無反応時にはP300は出現しないことから,患者群における無反応の増加は反応組織化の失敗ではなく刺激評価の失敗によるものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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