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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻4号

1987年04月発行

文献概要

研究と報告

母娘にみられた多種薬剤嗜好例—とくにリタリン依存

著者: 折田美佐枝1 柴田洋子1 加藤能男1

所属機関: 1東邦大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.411 - P.416

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 抄録 症例は51歳の主婦で,約10年前から全身倦怠,不眠などを理由としてbellergal,chlordiazepoxideを精神科医から与薬され,さらに7年前からritalinが追加されて以来,とくにritalinに強く依存するようになった。彼女の独り娘は先天性股関節脱臼のため高校を中退し,その負目のために抑うつ的となり,母親を真似て種々の抗不安薬を服用するようになった。娘もやがてritalinに依存するようになり,母娘ともどもに服薬をたのしんで無為,臥床の日々を送るうち,娘の方は薬物が原因と思われる突然死を遂げた。娘の死後母親は薬物による自殺未遂で当科に入院し,著明な離脱症状を経て,ようやく長期にわたる薬物依存から脱却した。
 この症例について,ritalinの依存形成,「2人での」依存形成について文献的考察を行い,最後に精神科薬剤による依存の早期発見の重要性,ならびに家族の協力(この症例においては夫)や啓蒙の必要性を述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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