文献詳細
研究と報告
文献概要
抄録 症例は51歳の主婦で,約10年前から全身倦怠,不眠などを理由としてbellergal,chlordiazepoxideを精神科医から与薬され,さらに7年前からritalinが追加されて以来,とくにritalinに強く依存するようになった。彼女の独り娘は先天性股関節脱臼のため高校を中退し,その負目のために抑うつ的となり,母親を真似て種々の抗不安薬を服用するようになった。娘もやがてritalinに依存するようになり,母娘ともどもに服薬をたのしんで無為,臥床の日々を送るうち,娘の方は薬物が原因と思われる突然死を遂げた。娘の死後母親は薬物による自殺未遂で当科に入院し,著明な離脱症状を経て,ようやく長期にわたる薬物依存から脱却した。
この症例について,ritalinの依存形成,「2人での」依存形成について文献的考察を行い,最後に精神科薬剤による依存の早期発見の重要性,ならびに家族の協力(この症例においては夫)や啓蒙の必要性を述べた。
この症例について,ritalinの依存形成,「2人での」依存形成について文献的考察を行い,最後に精神科薬剤による依存の早期発見の重要性,ならびに家族の協力(この症例においては夫)や啓蒙の必要性を述べた。
掲載誌情報