icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻5号

1987年05月発行

文献概要

研究と報告

分裂病の認知・行動と事象関連電位のP300成分(Ⅱ)—反応行動の遅さの成因

著者: 秋本優1 平松謙一1 福田正人1 丹羽真一1 亀山知道1 斎藤治1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.465 - P.473

文献購入ページに移動
 抄録 認知・行動の基本的機構における分裂病の問題点を整理する目的で「三音弁別課題」遂行時の事象関連電位のP300成分の振幅・潜時と反応時間を測定し,両者の関連の特徴をまとめ2部に分けて報告した。本稿はその第II部である。第I部の報告に加え,本稿では適応型相関フィルタを用いて解析して得た次の特徴を報告した。(1)分裂病患者群では目標音に正しく反応した場合でもP300成分の振幅が低いことが多く,またP300潜時のバラツキも大きかった。このことから刺激評価機能の機能的不安定性が示唆された。(2)患者群では反応すべき目標音が増加しても目標音に対するP300潜時は変化せず,不利な課題遂行方略を採用していることが再確認された。(3)患者群ではP300潜時と反応時間の相関が低く,刺激評価過程と反応組織化過程の結合がゆるいと考えられた。(4)患者群では反応すべき目標音が増加すると反応時間の延長が明らかで反応組織化の遅さが認められた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?