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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

慢性精神分裂病における下垂体副腎皮質機能

著者: 堀彰1 永山素男12 島田均1 池田佳子2 島薗安雄3

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院精神科 2国立精神・神経センター武蔵病院臨床検査部 3国立精神・神経センター

ページ範囲:P.501 - P.507

 抄録 慢性精神分裂病患者(男性44例)の下垂体副腎皮質機能について検討した。1)感情鈍麻,接触性減退,街奇症と奇妙な行動が目立つが,不安,抑うつ気分はほとんどみられなかった。しかし,午前10時の血清コルチゾールの基礎値(1回目15.2±4.0,2回目14.6±3.1μg/dl)は,対照24例(9.7±3.3μg/dl)に比較し有意に高値を示した。2)8時30分,16時,23時に血清コルチゾール濃度を測定した。8時30分に最高値,23時に最低値という正常リズムを示さなかったものは,44例中3例(7%)のみであった。3)23時にdexamethasone 1mgを投与し抑制試験(DST)を行った。翌日の8時30分あるいは16時の濃度が5μg/dl以上の非抑制群は44例中17例(39%)であった。薬物代謝酵素誘導薬投与例とるいそう例を除外しても,24例中6例(25%)がDST非抑制であった。DST非抑制群ではコルチゾールの基礎値が高く,概念の解体,幻覚体験,異常な思考内容などの症状がより重症のものが多かった。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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