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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻5号

1987年05月発行

研究と報告

Transient global amnesiaを主症状とした良性脳炎の1例

著者: 氏家寛1 山本光利2

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室 2香川県立中央病院神経内科

ページ範囲:P.515 - P.521

文献概要

 抄録 52歳の男性にみられた良性脳炎によるtranisent global amnesiaの1例を報告した。TGAはrecent memoryの選択的障害と健忘性失語を中心にしていた。脳炎は髄液所見よりウイルス性が強く疑われたが血清及び髄液抗体価の検索では同定しえなかった。とくにHerpes simplex virus type 1についてはELISA法を含め検索したが否定的であった。本例では高熱,意識障害といった脳炎による症状や髄膜刺激症状を全く呈さず,TGAのみが唯一の臨床症状であったことが特徴である。これまでの報告からは脳炎によるTGAは非常に稀と考えられるが,脳炎後遺症にみられるaxial amnesiaとの関連から実際にはもっと多く潜在する可能性を指摘した。TGAにおいて脳炎を鑑別することの必要性と早期の髄液検査の重要性を強調した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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