文献詳細
文献概要
巻頭言
精神医学と民俗学
著者: 高畑直彦1
所属機関: 1札幌医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.562 - P.563
文献購入ページに移動 精神病の概念については,古代から現代に至るまで,様々な変遷を経てきていることが知られている。かかる変遷は,個々の精神事象にも当て嵌めてみることができよう。そして,その背景には,時代文化や時代精神が影響し,あるいは逆に,精神事象そのものが,それらの一表現となっていることもありそうである。
特に,トーテムとその歴史的推移については,精神医学と深い関係があるように見える。トーテムは,極めて素朴な心性の産物であろう。自然への畏怖を覚えた時,自然の中で逞しく生きている動物などの能力に想いを托し,それを守護神としていく過程が考えられる。かかる心性は,現代においても縁起を担いだり,神仏を拝んだりすることの中に,トーテム信仰や,そのことにまつわるタブー的名残りとしてよく見かけるのである。
特に,トーテムとその歴史的推移については,精神医学と深い関係があるように見える。トーテムは,極めて素朴な心性の産物であろう。自然への畏怖を覚えた時,自然の中で逞しく生きている動物などの能力に想いを托し,それを守護神としていく過程が考えられる。かかる心性は,現代においても縁起を担いだり,神仏を拝んだりすることの中に,トーテム信仰や,そのことにまつわるタブー的名残りとしてよく見かけるのである。
掲載誌情報