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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻6号

1987年06月発行

文献概要

展望

精神科領域におけるデキサメサゾン抑制試験の臨床的意義—第1回

著者: 星野仁彦1

所属機関: 1福島県立医科大学神経精神科

ページ範囲:P.564 - P.577

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I.はじめに
 一般に糖質corticoidは,下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を陰性フィードバック的に抑制して,二次的に副腎皮質からのcortisolの分泌を減少させる。これを応用して,Cushing症候群などの視床下部-下垂体-副腎皮質系(hypothalamic-pituitary-adrenal axis,以下HPA-axis)の機能を調べる検査としてLiddle204)により開発されたのがデキサメサゾン抑制試験(Dexamethasone Suppression Test,以下DST)である。
 精神科領域では,Fawcettら115),Carrollら60〜73)によって,躁うつ病,特に内因性うつ病でDSTの抑制不全(異常反応)がみられることが報告されて以来,種々の精神疾患に応用されてきている。しかし,近年の研究では,内因性うつ病の他にも,神経性食思不振症,老年痴呆,アルコール依存症,精神分裂病の一部などでDSTの抑制不全(nonsuppression)が認められることが報告され,内因性うつ病におけるDSTの感度や特異性が疑問視されてきている。それと同時に,DSTのメカニズムがtrait(素因)とstate(病態)のいずれに依存するかという議論も活発になされてきている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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