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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻6号

1987年06月発行

文献概要

研究と報告

向精神薬長期服用中の精神科入院患者の腹部単純レントゲン写真所見—巨大結腸症の発生頻度

著者: 堀彰1 大久保健1 吉野邦英2

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院精神科 2東京医科歯科大学第1外科

ページ範囲:P.603 - P.607

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 抄録 向精神薬長期服用中の精神科入院患者(88名)について,腹部単純レントゲン写真(立位)を撮影し,主として消化器系・泌尿器系の訴えをもって,診療所の内科外来を訪れた患者(62名)を対照群として比較検討した。
 1)腹部写真については,重症のものから,Ⅳ度(鏡面像形成),Ⅲ度(結腸の異常ガス),Ⅱ度(多量の便あるいはガスの貯留),Ⅰ度(中等度の貯留),0度(少量の貯留)の5段階に分類した。2)精神科患者のうち,Ⅳ度は3名(3%),Ⅲ度は12名(14%),Ⅱ度は15名(17%),Ⅰ度は34名(38%),0度は24名(27%)であった。一方,対照群では,Ⅳ度,Ⅲ度,Ⅱ度はなく,Ⅰ度は33名(53%),0度は29名(47%)であった。3)ガスあるいは便により横行結腸,下行結腸あるいはS状結腸が拡大し,6cm以上になったものを巨大結腸症とした。巨大結腸症は精神科患者では13名(15%)にみられたが,対照群では認められなかった。4)精神科患者の腹部写真の重症度と,年齢,在院期間,抗精神病薬投与量,抗パーキンソン薬投与の有無,下剤投与の有無との間には,有意な関係はなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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