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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻6号

1987年06月発行

文献概要

研究と報告

抑うつ状態下の飲酒に伴って高度の溶血性貧血及び巨赤芽球性貧血を呈した1女性例

著者: 竹下久由1 鎌田修1 浜崎豊1 松下棟治2 大田原顕3 吾郷浩厚4

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室 2山陰労災病院 3鳥取大学医学部第一内科学教室 4鳥取大学医学部第二内科学教室

ページ範囲:P.609 - P.615

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 抄録 症例は37歳の女性,昭和55年春(33歳)より,毎年周期的に抑うつ焦燥感,不眠,全身倦怠感などが出現し,ビールを飲むようになったが次第に増量(5〜6本/日)。同59年5月(37歳),RBC 214×104/mm3,MCV 126fl,MCH 41.6pgと大球性高色素性貧血を呈し,さらに網赤血球の増加(55%),間接ビリルビンの増加,ハプトグロビンの低下,骨髄穿刺で赤血球系の増加を認め,溶血性貧血と診断された。
 軽快退院後同年10月同様の状態となり(RBC 175×104/mm3,MCV 120.1fl,MCH 40.6pg,網赤血球63%),さらに末梢赤血球の30%に口唇赤血球症を認め,骨髄穿刺では64%の巨赤芽球が認められ,溶血性貧血兼巨赤芽球性貧血と診断された。全経過を通じ葉酸,VB12,血清鉄は正常で,入院後いずれも無治療で貧血は改善した。臨床検査所見,使用薬物,臨床経過などから本例の貧血はアルコールの直接作用による可能性が最も高いものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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