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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻7号

1987年07月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病患者の病前行動特徴—通知表における患者と同胞の行動評価の比較

著者: 原田誠一1 岡崎祐士1 増井寛治2 高桑光俊3 金生由紀子1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室 2松沢病院 3多摩病院

ページ範囲:P.705 - P.715

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 抄録 精神分裂病患者とその同胞の小・中学校時代の通知表を調べ,分裂病患者の病前行動特徴の抽出を試みた。通知表の記載から盲検的に行動項目の一覧を作成し,項目の存否に関する明確な評価基準を作った上で評価を行い,盲検をといた後に統計学的検討を加えた。
 その結果,「作業を厭わず進んでする」など11の肯定的に記載されている行動項目で有意差があり,いずれも同胞に多く認められた。一方,「自主的に行動出来ず,頼りがち」など5つの否定的に記載されている行動項目で有意差があり,いずれも患者に多く認められた。また,行動特徴の経年的な推移も調べたところ,患者と同胞の行動特徴の差異は小学校低学年から認められるが,小学校高学年で顕著であった。さらに,有意差の認められた病前行動特徴の組合せによって,患者と同胞の分離がかなり可能であることを示した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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