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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻7号

1987年07月発行

文献概要

研究と報告

西ドイツにおける精神分裂病の宗教的内容の妄想(Ⅰ)—臨床的特徴について

著者: 立山萬里1 浅井昌弘1 保崎秀夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科 2Universitäts-Nervenklinik Tübingen

ページ範囲:P.717 - P.723

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 抄録 西ドイツ・チュービンゲン大学神経科に1984年度に入院した精神分裂病者(ICD9:295)280例の内,56例(20%)に,病歴上,宗教に関する内容の妄想を認めた。病型分類では,妄想型(2953)30例(53.6%),分裂情動型(295.7)14例(25%)など,であった。何らかの妄想を有する分裂病者の24.4%に,病歴上,この宗教的妄想が認められ,他の病型より,分裂情動型に出現率が高かった。また,宗教的妄想のない分裂病群や,他の妄想主題を有する分裂病群との比較で,次の様な特徴があった。1)男性に多い傾向。2)急性ないし亜急性の興奮を示すものが多い。3)"波状"経過型が多く,"単純"経過型(Bleuler, M.)が少ない。4)他の妄想を有する群よりも,発症より長い期間を経て出現し,その持続傾向は弱い。以上より,宗教的妄想は,分裂病の中でも,急性の情動症状を伴う亜群(例えば不安-恍惚精神病)に親和性を有すると言えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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