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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻7号

1987年07月発行

文献概要

研究と報告

被爆者37例にみられた精神障害—被爆後40年の調査

著者: 野中猛1 遠山照彦1 中沢正夫1 安東一郎1 林英樹1 三浦弘史1

所属機関: 1代々木病院精神神経科

ページ範囲:P.725 - P.733

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 抄録 原爆被爆後40年の時点で被爆者にみられた精神障害像を検討した。対象は現在の生存者36万人(被爆者手帳保持者数)のうち,1985年度本院被爆医療科に受診した東京都在住の814例の中で精神科に受診した37例である。内訳は,男11人,女26人,平均年齢61歳,爆心から2km以内の被爆54.5%,急性放射能障害を呈したもの65.6%である。精神障害像の分類はDSM-Ⅲによった。その結果,器質群7例・内因群14例・妄想群3例・不安身体症状群11例・人格障害群2例の5群に分類した。
 従来の研究がいわゆる‘神経衰弱状態’に注目したのに比し,40年の経過の中で精神病状態が少なからず発症していることが目立った。その特徴は,非定型的な症状が混在していること,病像が経過の中で変遷すること,全ての例で不定な身体症状を伴うことがあげられる。その病因論は今後の課題に残された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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