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研究と報告
棘波脳波異常を示す非てんかん患者の臨床的,追跡的研究
著者: 角南健1
所属機関: 1東京都神経科学総合研究所社会医学部遺伝学研究室
ページ範囲:P.763 - P.771
文献購入ページに移動 抄録 本研究の目的は,棘波脳波異常のもつ臨床的意義と,てんかん発作発症に及ぼす要因の関与を解明することにある。てんかんの遺伝子型表現とみなされる棘波を示した非てんかん患者850名(病院受診の全非てんかん患者11,773名の72%)を対象として,その特徴を分析し,臨床経過の追跡調査を行った。年齢は3〜8歳,臨床症状は頭部外傷と頭痛,棘波異常型は陽性棘波と棘波を伴う徐波群発がそれぞれ過半数を占めた。1親等近親者におけるけいれん罹病率4.7%は,棘波のない非てんかん患者での2.5%より有意に高かった。564名は1〜24年間の経過が追跡でき,その62%で臨床症状は消失していた。てんかんへ移行した患者は10名(1.8%)あり,残りの554名と比較して,男,年齢0〜4歳,臨床症状初発0〜6歳,精神発達遅滞,棘徐波結合脳波異常,分娩時障害の各要因がより多かった。これらの6要因は,てんかん発作発現に大きな影響を及ぼしていると推測された。
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