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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻7号

1987年07月発行

研究と報告

“Hyperphrenie”,けいれん性発声障害,眼瞼・口部・横隔膜のdystonic spasmを示した1例

著者: 奥野洋子13 中安信夫2

所属機関: 1初石病院 2群馬大学医学部神経精神医学教室 3原病院

ページ範囲:P.773 - P.785

文献概要

 抄録 エコノモ脳炎後遺症に特異的と考えられたHyperphrenieは,多動性,感情障害,精神病質様性格変化を主症状とする精神症状群である。我々は脳炎の既往のない1男性例(発症時49歳)にHyperphrenieが出現したのを観察した。精神症状は①多動を混じた寡動性,②食欲変化,③気分変調,④退行的性格変化,⑤幻覚・妄想が認められ,知的機能の障害はみられなかった。これらは全体としてHyperphrenieに酷似していたが,精神運動性および感情障害については,Bradyphrenieの要素を混じていた。神経症状は①けいれん性発声障害,②眼瞼・口部・横隔膜のdystonic spasm,③軽度のパーキンソン症候群,④発汗過多が認められた。本症例は疾患論的には不明にとどまったが,けいれん性発声障害およびdystonic spasm(Meige症候群)との関連で考察したところ,従来の文献中にも類似の精神・神経症状を呈したものが2例見出された。本症例の障害部位は,基底核以下の脳幹部であろうと推定された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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