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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻8号

1987年08月発行

研究と報告

分裂病の情報処理障害—事象関連電位による情報処理モデルからの検討

著者: 忠井俊明1 福居義久2 上月清司3 井爪尚1 加藤光彦1 村田伸文1 中嶋照夫1

所属機関: 1京都府立医科大学精神医学教室 2松下記念病院 3紅葉丘病院

ページ範囲:P.817 - P.828

文献概要

 抄録 慢性分裂病者における認知情報処理過程の障害の有無やその特性を検討するため一種の認知課題である短期記憶検索処理課題を分裂病群(9名),健康対照群(9名)に与え,課題遂行時のERP(N2,P3,P4潜時),RTを測定し,比較検討した。課題は肯定教示,否定教示から構成されており,操作変数はmemory set size(2,3,4),decision mode(in set,out of set),response mode(press,no press)及び教示(肯定,否定)である。対照群ではN2潜時は教示,P3潜時はresponse mode,P4潜時とRTはmemory set sizeとdecision modeの各要因で有意の主効果(5%)を認めた。又,各潜時間の相関はN2との間が最も高い正の相関を示した。一方,分裂病群では対照群と比較してN2,P3潜時及びRTの有意の遅延及び各潜時間の相関の低下を認めた。これらの結果について認知・行動に関する三分法的(刺激処理系,反応処理系,制御処理系)情報処理モデルの観点より検討を加え,分裂病者の認知過程の障害は反応処理系及び制御処理系の障害であると推定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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