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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻8号

1987年08月発行

文献概要

研究と報告

SLEなど特異な併発症状を示したてんかんの1例

著者: 市川徳政1 両角國男2 早稲田直久1 千住隆男1 中里均1 清水將之1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部精神医学教室 2名古屋市立大学医学部第三内科学教室

ページ範囲:P.865 - P.872

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 抄録 幾つかの抗てんかん剤によって薬疹,SLE,そしててんかん発作の頻発と脳波の増悪を示した続発全汎てんかんの1例を報告した。SLEの原因としてphenytoinあるいはこれとprimidonの相乗効果による影響が疑われた。臨床所見としてはARAのSLE診断基準のうち,蝶型紅斑,円板状ループス,変形を伴わない関節炎,心包炎,LE細胞陽性,蛋白尿など6項目を満たし,他に抗二本鎖DNA抗体陽性,脾腫,focal Iupus nephritlsなどを認めた。本症例は薬剤誘発ループスというよりも薬剤誘発SLEと呼ぶのが適切と考えた。また,clonazepam,diazepamの使用によって睡眠中の強直発作の頻発と睡眠時脳波に数年におよぶrapid rhythm様の速波律動の形成過程を認めた。このことはもともと本症例に脳皮質下の何らかの病態生理学的脆弱性があり,薬剤に反応してLennox症候群に類似の所見を呈したものと解釈した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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