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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻8号

1987年08月発行

文献概要

短報

幻覚妄想状態を呈したSipple症候群の1例

著者: 井上俊照1 森岡英五1 早原敏之1 細川清1

所属機関: 1香川医科大学精神神経医学講座

ページ範囲:P.893 - P.895

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I.はじめに
 Sipple症候群は,副腎褐色細胞腫に甲状腺髄様癌を合併したものであり,その20%に髄様癌の産生するカルシトニンのCa低下作用に対する代償としての続発性の副甲状腺腫を合併する病態である。Sipple症候群のうちの副腎褐色細胞腫の主要な症状である突発性高血圧発作では,頭痛・動悸・吐き気・嘔吐・上腹部痛・多量発汗・呼吸困難・感覚異常・めまい・注視障害などの身体症状と,不安・恐怖といった精神症状を伴うと言われている2,6)。また,他の精神症状として,不眠・焦燥感・抑うつ状態・易疲労感・欠神発作も報告されている4)。しかし,Sipple症候群あるいは褐色細胞腫で幻覚妄想状態をきたした症例は,われわれが検索しえた限りでは,本邦では1例限りであった3)。今回われわれは褐色細胞腫の手術前後にわたり,一過性の幻覚妄想状態を呈したSipple症候群患者の1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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