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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻9号

1987年09月発行

文献概要

研究と報告

西ドイツにおける精神分裂病の宗教的内容の妄想(Ⅱ)—妄想内容について

著者: 立山萬里1 浅井昌弘1 保崎秀夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科 2Universitäts-Nervenklinik Tübingen

ページ範囲:P.941 - P.947

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 抄録 西ドイツチュービンゲン大学神経科に1984年度に入院した精神分裂病者(ICD 9:295)280例の内,56例(20%)に,病歴上,宗教に関する内容の妄想を認めた。その妄想内容は,誇大的なもの32例(57.1%),罪業的なもの13例(23.2%),2種以上の内容が混在したもの7例(12.5%)で,後二者のうちの5例(8.9%)は,「悪魔による憑依(Besessenheit von Teufel)」も訴えた。はっきりした幻聴は30例(53.6%)に認められ,この内の4例(7.1%)には,「悪魔」に関する視覚性の妄覚も認められた。45例(80.4%)において,宗教的妄想以外の妄想主題も認められた。そのなかでは迫害妄想が26例(46.6%)と多く,「世界没落体験」(Wetzel)も3例にみられた。全経過で宗教的妄想のみ示した者は,11例(19.6%-全分裂病280例の3.9%)であった。分裂病の宗教的妄想内容が,急性の情動症状の持つ両価的な特徴に基づく点を考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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