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研究と報告
月経前緊張症の治療
著者: 小森照久1 野村純一1
所属機関: 1三重大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.949 - P.956
文献購入ページに移動 抄録 prospectiveな診断によって月経前緊張症11例を確認し,臨床症状,内分泌所見,および治療薬を検討した。奏効した治療薬の内訳は,ブロモクリプチン5例,プロスタグランジン合成阻害薬2例,乾燥甲状腺末1例,リチウム2例,スルピリド1例であった。気分変動が激しいものにはリチウムが奏効すると思われるが,リチウムやスルピリドが奏効するものは感情障害に近いものかもしれない。その他の多くの場合には,異常な内分泌所見を補正するような治療が奏効した。異常な内分泌所見として,プロラクチン上昇,プロスタグランジンF2α上昇,甲状腺ホルモン低下など,多様なものがみられた。これらが生体のホメオスターシスを乱すことが,月経前緊張症の発症に関与しているのではないかと思われた。月経前緊張症の治療には多様なものが考えられるが,内分泌所見や臨床症状に基づいて病型分類を行えば,ある程度は治療指針を示すことができるように思われる。
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