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文献詳細

雑誌文献

精神医学29巻9号

1987年09月発行

研究と報告

反響言語echolaliaについて

著者: 波多野和夫1 坂田忠蔵2 田中薫3 浜中淑彦4 戸田圓二郎5

所属機関: 1国立京都病院精神科 2清恵会近江温泉病院言語室 3愛仁会理学療法科病院言語室 4名古屋市大医学部精神神経科 5聖十字の家診療所

ページ範囲:P.967 - P.973

文献概要

 抄録 老年痴呆の1例に見られた反響言語について報告した。当初は,文や語句のレベルの反響言語(「減弱型」〜「完全型」反響言語)であったが,痴呆の進行と共に,言語的発動性低下が著明になり,相手の発話の最終シラブルのみを繰り返す「部分的反響言語」が優勢になった。この症例報告を通じ,反響言語をめぐる以下の点について若干の問題を論じた。(1)反響言語には,脳の器質性解体過程の進行を反映して,「減弱型」mitigated→「完全型」complete→「部分型」反響言語partial echolaliaの段階があり,これらの段階を経て最終的な無言mutismに到る系列があり得ることを述べた。(2)「部分的同時発話」が観察されたこと。(3)「遅延型」の反響言語が成人でも問題になること。(4)テレビのコマーシャル文句に対しても反響言語が観察されたこと。(5)「強迫的」な音読現象が観察されたこと。これらの問題を取り上げて論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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