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研究と報告
文献概要
抄録 自分のよく知っている人物がまったく未知の人物にいつのまにか入れ替っていると感ずる病的体験であるカプグラ症状は,さまざまな病気の際にみられることが知られ,近年その報告例がふえている。
26歳の男性で,約10年間の有機溶剤の連用後に,「自分の両親が知らない他人に入れ替っている」というカプグラ症状を呈し,急性の有機溶剤中毒の状態で父親と母親を殺害し,著者が司法精神鑑定を依頼された症例を報告した。本例では頻回の有機溶剤酩酊中の錯視を背景として,両親に対する敵意が両親を否認したいという無意識の願望となり,更に「両親は実は異なる人間」という妄想にまで発展したように思われた。有機溶剤依存症の法的責任能力についても考察を加えた。
26歳の男性で,約10年間の有機溶剤の連用後に,「自分の両親が知らない他人に入れ替っている」というカプグラ症状を呈し,急性の有機溶剤中毒の状態で父親と母親を殺害し,著者が司法精神鑑定を依頼された症例を報告した。本例では頻回の有機溶剤酩酊中の錯視を背景として,両親に対する敵意が両親を否認したいという無意識の願望となり,更に「両親は実は異なる人間」という妄想にまで発展したように思われた。有機溶剤依存症の法的責任能力についても考察を加えた。
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