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特集 妄想の人間学—精神病理懇話会講演ならびに討論
文献概要
Ⅰ.Minkowskiの妄想論
ここにEugene Minkowskiの妄想論をテーマとして選んだのは多少あるもくろみがあつてのことである。というのは,Minkowskiの学問的立場がいわゆる現象学的立場にあり,フランスの古典的妄想学説とはかなりかけはなれたものをもつと同時に,わが国で精神医学領域の代表的現象学者と目されているJaspersとは立場を異にしていること,またBinswangerの現存在分析とやや視点を別にしたところがあることで,Minkowskiを中心にして考えることによつて相互の関係や相異が,かなり明らかに,とらえられると思うからである。ただし,このもくろみは非常に大きな問題であつて,とうていかぎられた紙面内で論じつくされたり結論を出したりできるものではない。で,私はただ1つの問題を提起するというつもりで考察をすすめていきたい。
Minkowskiの思想的背景には2人の哲学者の名をあげねばならない。BergsonとHusserlがそれである。
ここにEugene Minkowskiの妄想論をテーマとして選んだのは多少あるもくろみがあつてのことである。というのは,Minkowskiの学問的立場がいわゆる現象学的立場にあり,フランスの古典的妄想学説とはかなりかけはなれたものをもつと同時に,わが国で精神医学領域の代表的現象学者と目されているJaspersとは立場を異にしていること,またBinswangerの現存在分析とやや視点を別にしたところがあることで,Minkowskiを中心にして考えることによつて相互の関係や相異が,かなり明らかに,とらえられると思うからである。ただし,このもくろみは非常に大きな問題であつて,とうていかぎられた紙面内で論じつくされたり結論を出したりできるものではない。で,私はただ1つの問題を提起するというつもりで考察をすすめていきたい。
Minkowskiの思想的背景には2人の哲学者の名をあげねばならない。BergsonとHusserlがそれである。
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