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文献詳細

雑誌文献

精神医学3巻1号

1961年01月発行

研究と報告

精神疾患に対するThioproperazine(RP7843)の使用経験

著者: 松本胖1 渡辺位1 山上龍太郎1 石川鉄男1 高室昌一郎1

所属機関: 1国立国府台病院精神科

ページ範囲:P.67 - P.76

文献概要

 われわれは,新しいPhenothiazine誘導体であるThioproperazineを精神分裂病26例(破瓜型23,妄想型2,緊張型1)および混合精神病2例,計28例に試用した。
 1.精神分裂病は罹病期間3年以上の陳旧例が16例あり,その多くはほかの治療法によつて効果のえられなかつたものであるが,本剤によつて著効3,有効7,やや有効10,無効8の成績を短期間内に認めた。ただし,緊張病性興奮の状態にある精神分裂病,躁状態にあつた混合精神病の各1例に対しては,短期間内の効果をみなかつた。
 2.本剤によつて比較的改善されやすい病的症状は,無為,昏迷,寡言,絨黙,拒絶などの意志発動性ないし被影響性減退症状,疎通性減退,不関などの感情障害,妄想,幻覚などの異常体験であつた。
 3.本剤に随伴すると考えられる症状は,身体的には,パーキンソン病態,言語障害,嚥下困難,振戦などの運動寡少-筋緊張充進症状,一側性顔面けいれん,けいれん性斜頸,牙関緊急などの運動充進症状,唾液分泌過多,発汗過多,顔面紅潮などの自律神経症状であり,これらが短期間内に顕著に発現する傾向がいちじるしい。
 精神症状としては,不安感,不快感,苦悶,多幸症などの感情障害,運動興奮,俳徊などの精神運動興奮症状および不眠などがみられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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