文献詳細
研究と報告
結核性髄膜炎後にみられた精神運動発作の1例
著者: 石川安息1 尾内秀雄1 柴田洋子1 森温理1
所属機関: 1東邦大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.845 - P.851
文献概要
近時,化学療法の進歩にともなつて,従来致命的であつた結核性髄膜炎の治癒率もいちじるしく上昇したことは周知のとおりであるが,それと同時に後遺症状として聴力・運動・知能障害,性格変化およびてんかん発作などが新たに注目されるようになつた1)〜4)。とくにてんかん発作との関係については,このような例の主要な病理学的変化が大脳半球基底面および側面に強い点から,側頭葉の病変に起因する精神運動発作との関連が興味ある問題として指摘されている1),5),6)。
今回,われわれは,幼時期に結核性髄膜炎に罹患し,その後まもなく性格変化とともに精神運動発作を示すにいたつた1例を経験し,その病因に関しての2,3考察をこころみる機会をえたので報告する。
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