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紹介
“意識内容と大脳機能との相関関係”—Karl Spencer Lashleyの機械論的心身論(1)
著者: 福田哲雄1
所属機関: 1大阪医科大学神経科
ページ範囲:P.941 - P.946
文献購入ページに移動まえがき
1959年5月22日発行のScience誌は,L. Carmichael博士(Smithonian Institution, Washington, D. C.)の一文によつてKarl Spencer Lashleyの訃報を全世界に伝えた。1958年8月7日,この“おそらく今世紀のもつともすぐれた神経心理学者”(D. O. Hebb;Am. J. Psychol.,1959年3月号)は,欧州旅行の途中フランスのポアティエールにおいて,満68才の生涯を閉じたのである。学者としての彼の生涯は,まことに華やかなものであつた。実験心理・神経解剖・大脳生理の各分野にわたつた彼の貢献は,誰もが認める非凡さと独創性とを備えている。
この一文は,Lashleyの訃報を知つて以来,筆者の念頭にあつたもので,2年という時間的なずれは環境的な理由にもとづいている。執筆を思いたつた理由は,筆者と故人とが生前に多少の交際をもつていたという個人的なものもあるにはあるが,それにもまして,彼の学問的な成果とそれをもとにして組み立てられた仮説や理論の卓抜したみごとさを広く日本の精神医学者に紹介したいという願いからである。
1959年5月22日発行のScience誌は,L. Carmichael博士(Smithonian Institution, Washington, D. C.)の一文によつてKarl Spencer Lashleyの訃報を全世界に伝えた。1958年8月7日,この“おそらく今世紀のもつともすぐれた神経心理学者”(D. O. Hebb;Am. J. Psychol.,1959年3月号)は,欧州旅行の途中フランスのポアティエールにおいて,満68才の生涯を閉じたのである。学者としての彼の生涯は,まことに華やかなものであつた。実験心理・神経解剖・大脳生理の各分野にわたつた彼の貢献は,誰もが認める非凡さと独創性とを備えている。
この一文は,Lashleyの訃報を知つて以来,筆者の念頭にあつたもので,2年という時間的なずれは環境的な理由にもとづいている。執筆を思いたつた理由は,筆者と故人とが生前に多少の交際をもつていたという個人的なものもあるにはあるが,それにもまして,彼の学問的な成果とそれをもとにして組み立てられた仮説や理論の卓抜したみごとさを広く日本の精神医学者に紹介したいという願いからである。
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