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文献詳細

雑誌文献

精神医学3巻12号

1961年12月発行

特集 非定型内因性精神病

非定型精神病の概念と臨床

著者: 黒沢良介1

所属機関: 1三重県立大学医学部精神神経病学教室

ページ範囲:P.959 - P.965

文献概要

 1.広義に分裂病を解釈するときその30%前後は非定型精神病としての対象になる。
 2.非定型精神病が示す精神症状はvielgestaltigである。われわれは発病に精神的要素が強くはたらく群,そううつ病的色彩を示す群,および自生的にまたは過労,カゼなどの身体的条件が誘因として発作的に発病する3群に分けたが,いずれも急性に人格解体を示し,episodischあるいはperiodischに経過し,本来的には欠陥像を残すことなく治癒する。
 3.非定型精神病には外向的,積極的,固陋的,攻撃的粘着的などの性格特長が認められる一方,他方にかなりの頻度に異常脳波の出現がみられ,精神,身体的な不安定性がみられる。鳩谷ののべる間脳-下垂体系の低格性と相まつて急激な人格解体をみるものと思われる。
 4.非定型精神病は30才までに75%発病し,反復発病するものが多い。
 5.非定型精神病中には発病後5〜20年の経過で何回か発作をくりかえす中に特有な欠陥像を示すものがある。その像はてんかんのWesensanderungに近い。つぎに致死性緊張病は非定型精神病の家族中にみられ,また欠陥なしに治癒する可能性を有する点より非定型精神病の範疇に入るべぎものと思われる。
 6.非定型精神病は分裂病に比べ,有負因の者が多く,家族内精神病が直系家族中にあらわれることが多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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