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文献詳細

雑誌文献

精神医学3巻12号

1961年12月発行

文献概要

特集 非定型内因性精神病

非定型精神病の概念—臨床遺伝学の立場から

著者: 満田久敏1

所属機関: 1大阪医科大学神経科

ページ範囲:P.967 - P.969

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 「非定型精神病」とは,考えてみれば,まことに大胆な病名である。仮りに精神病以外のものにおきかえてみると,それはたとえば非定型の神経病とか,非定型の内科疾患とでもいうべきもので,要するに非定型の疾患というのととくに変わりはないわけである。ところが,このような途方もない病名も精神病医の間では日常たいした抵抗もなく用いられ,そればかりか,学会においてはシンポジアムのテーマとしてとりあげられている。このことは精神病の疾病論,ことにその分類体系が現在どのような段階にあるかをもつとも端的に示しているものといえよう。
 周知のとおり,こんにち精神病医が一般に使つている診断の基準,つまり分類の基準は,だいたいにおいてKraepelinによつて創始され,Bleulerによつて発展させられたものである。ことに,いまてんかんを一応切り離して考えるならば,いわゆる内因性精神病を分裂病と躁うつ病の2つの疾患に類別せんとするKraepelin以来の2分主義の考えかたは,現在の精神病の分類体系のもつとも基本をなすものである。しかし同時にまた,こんにちまでの精神病の分類に関する論争も,ほとんどつねにこの2分主義をめぐつてくりかえされてきたのであつて,その代表的なものが非定型精神病に関する問題である。すなわち,非定型精神病とはごく図式的にいえば,分裂病と躁うつ病の境界域ないし両者の交錯するあたりにあつて,したがつてこれまでの2分主義よりすれば,その鑑別が当然問題となるような症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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