文献詳細
特集 非定型内因性精神病
文献概要
Ⅰ.緒言
こんにちの精神病の分類は,Kraepelinのその分類体系に多かれ少なかれ基地をもつことは否めないところである。しかし,Kraepelin以来つねに分裂病と躁うつ病の関係を中心に,内因性精神病の含む内的1)2)3)4)5)矛盾を解明するため,疾病類型学的6)7)にあるいは身体的素因・病因的に遺伝生物学的8),内分泌・生化学的9)10)および病態生理学11)的立場などから追求され,論議がくりかえされてきた。そして,臨床的に分裂病とも躁うつ病とも区別しにくい症例については,従来これを両者の移行型あるいは混合型として説明しようとする立場と,非定型精神病あるいは変質性精神病などと主張する立場とが対立している。いずれにしても非定型精神病という概念は,定型精神病と対比されるべき理論上の性格をもつものであるとはいえ,臨床の実際はもとより,その他種々の点において複雑多岐にわたる多くの要因を包含するものであることは否めない。
以上のごとく,非定型精神病がもつている事項はきわめて多く,その解明は日常の診療はもとよりとして,精神病自体の病因に重要な手がかりを与える緊急事でもある。われわれはこれらの点に着目して数年前より本研究すなわち非定型精神病の病態生理学的研究に着手したのである。
こんにちの精神病の分類は,Kraepelinのその分類体系に多かれ少なかれ基地をもつことは否めないところである。しかし,Kraepelin以来つねに分裂病と躁うつ病の関係を中心に,内因性精神病の含む内的1)2)3)4)5)矛盾を解明するため,疾病類型学的6)7)にあるいは身体的素因・病因的に遺伝生物学的8),内分泌・生化学的9)10)および病態生理学11)的立場などから追求され,論議がくりかえされてきた。そして,臨床的に分裂病とも躁うつ病とも区別しにくい症例については,従来これを両者の移行型あるいは混合型として説明しようとする立場と,非定型精神病あるいは変質性精神病などと主張する立場とが対立している。いずれにしても非定型精神病という概念は,定型精神病と対比されるべき理論上の性格をもつものであるとはいえ,臨床の実際はもとより,その他種々の点において複雑多岐にわたる多くの要因を包含するものであることは否めない。
以上のごとく,非定型精神病がもつている事項はきわめて多く,その解明は日常の診療はもとよりとして,精神病自体の病因に重要な手がかりを与える緊急事でもある。われわれはこれらの点に着目して数年前より本研究すなわち非定型精神病の病態生理学的研究に着手したのである。
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