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文献詳細

雑誌文献

精神医学3巻2号

1961年02月発行

文献概要

展望

真性てんかんの性格特徴(その1)

著者: 後藤彰夫1

所属機関: 1同愛記念病院精神神経科

ページ範囲:P.107 - P.117

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 1.てんかんの症候学としては精神症状,なかんずく持続的な性格変化がいつそう重要視されねばならぬという観点から,真性てんかんの性格変化についてあらためて検討した。
 2.多彩な性格特徴の中から,現在症として直接に把握できること,きわめて多数に共通してみられること,たがいに関連しあつて一連の性格特徴を形成することなどの理由から,きちようめん・融通性に乏し,執拗・くどい,粘着性,爆発性の四つをとりあげて論じた。
 3.これらの特徴はいろいろな組合わせで存在するが,きちようめん一融通性に乏し,執拗,粘着性はきちようめん一融通性に乏しを核とする環状構造をなし,爆発性は執拗一粘着性と表裏の関係をなす。
 これらの特徴は多くは発作初発前より存在し,病期とともに発作や服薬とは無関係に,P→P+U→P十U十Vの方向に推移する。
 したがって,四つの特徴は一連の関連ある特徴群であつて,これらを総括すると「精神機能の融通性の喪失,紋切型,いわば規格化と転導性の欠如。さらに特有な粘着性・緩慢(爆発性への傾向を含む)への変化」といえる。
 4.これらの特徴は発作頻度のきわめて少ない例でも著明なことがあり,また発作初発前にあるいは初発後早期にすでに形成されることもあり,反対に長年月を経てもまつたく認められぬこともある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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