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研究と報告
精神病院における自殺について
著者: 大原健士郎1 廿楽昌子1 佐々木三男1 河野暢1 関本志磨子1
所属機関: 1慈恵医大精神神経科
ページ範囲:P.269 - P.274
文献購入ページに移動精神病院において入院中の患者が,自らの手で生命を絶つという事件に遭遇することは決してまれなことではない。これまで,わが国でもこの種の研究には,加藤4),信藤5),大原6)らの報告があるが,いずれもごく表面的な実態調査にとどまり,病院管理の諸問題にまで言及した論文は,見当らないようである。
D. Offer,P. Barglow3)は,これらの事故を"Natural Phenomenon"の言葉であらわしているが,確かにわれわれの周囲にもこの種の事故を「ありふれた出来事だ。やむをえない現象だ。」として片づけてしまう傾向がないでもない。また,こういつた傾向に個人の秘密や病院管理の諸問題が加味されて,この方面の研究をさらに困難なものにしている,という印象もうける。
われわれは以上の見地から,精神病院における自殺が,どんなときに,どんなふうにおこるものであるかを明らかにし,治療や看護の面でいくばくかの示唆を与ええないものであろうか,という希望と目的をもつて,今回の調査を施行した。
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