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文献詳細

雑誌文献

精神医学3巻6号

1961年06月発行

文献概要

研究と報告

PZC散・ヒベルナ併用による神経症の治療

著者: 蔵原惟光12

所属機関: 1足利赤十字病院神経科 2慶応義塾大学医学部神経科教室

ページ範囲:P.523 - P.530

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I.はじめに
 昔から神経症の治療として心理療法と薬物および物理化学的方法によるいわゆる医学的療法が行なわれてきた。しかし現代の神経症理論はその原因として心理的要因を重視し,医学的療法を補助的とみなす現況である。だが精神衛生的知識の低い地方では,神経症性苦訴をもつて医師を訪れる患者の多くは医学的療法を期待し,お説教(ある患者は洞察療法的助言をこのように表現した。)を聞くためではないという露骨な表現に驚かされることも珍ししくない。われわれもむろん心理療法を重視し,実践しているのであるが,時間的制約と患者のこのような意図のために,速効的に不安,緊張感をしずめ,後の心理療法的操作を軌道にのせ,改善をはかることこそ患者を根強くはびこる民間療法に走らせない第1の鍵であり,われわれの務めといわなければならない。
 われわれはこのような目的にかなつた薬物の効果を検討してきたが,今回PZC散およびヒベルナ併用(以下併用療法と記す)により,従来の薬物,たとえばChlorpromazine,Prochlorperazine,Acetylpromazine,Methopromazine,Promazineなどの単独投与,あるいはVegetamin錠,狭義のTranquilizerの使用よりいつそう適確な有効性が期待しうることを認めたのでのべてみたい。
 対象患者は足利日赤病院神経科で昭和35年6月末より同年12月にかけ扱った各種神経症128例中,併用療法をなした43例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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