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精神分裂病の心理療法の歴史
著者: 笠原嘉1 阪本健二12
所属機関: 1京大精神科 2阪本病院
ページ範囲:P.547 - P.558
文献購入ページに移動精神分裂病への心理療法的な働きかけの歴史は想像されるよりはるかに古く長い。古くはPinel, P. 以来心ある医師たちはそれぞれなんらかの仕方で人道的な看護を企て実行してきたともいえるが,体系と方法と理論を兼ねそなえた現代の治療法としての心理療法が精神分裂病を対象とし始めてからでもすでに半世紀近くを経過している。精神医学の拠点が収容施設から大学や研究施設へと移されるにつれてこの方面への関心と努力はとみに衰退していつたが,それでも精神病への心理療法的接近の試みは精神分析医や精神病医の間で決して途絶えることなくつづけられていたのである。このような歴史をぬきにしては戦後におけるこの研究の急速な発展を正しく評価することはむつかしいであろう。
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