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文献詳細

雑誌文献

精神医学3巻7号

1961年07月発行

文献概要

研究と報告

精神疾患に対するFluphenazineの使用経験

著者: 松本胖1 中島三之丞1 山上竜太郎1

所属機関: 1国立国府台病院精神科

ページ範囲:P.619 - P.628

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 われわれは精神神経症23例,うつ病12例,精神分裂病5例,計40例(男24,女16)にFluphenazineを投与して,その臨床的観察を行なつた。
 (1)投与はすべて経口法により,精神神経症およびうつ病に対しては最初1日量1mgを持続し,症状の軽減後に0.5mgとして1回法を続け,精神分裂病には1〜6mgを用い,3〜92日持続した。
 (2)精神神経症は23例中,著効8,有効7,やや有効4,無効4で,その不安,恐怖,苦悶,抑うつなどの感情障害,自発性減退,心気念慮などに対して効果が認められた。
 (3)うつ病は12例中,著効4,有効3,やや有効3,無効2で,その抑うつ気分変調,精神運動抑制,思考制止,罪業および心気念慮,自律神経症状などに対して有効であつた。
 (4)精神分裂病は5例中,著効1,有効1,やや有効2,無効1で,その疎通性減退,自発性減退,幻覚,妄想などに対して効果を示した。
 (5)本剤に関係があると思われる不快な症状としては,1日量1.5mg以上を用いた場合に,口渇,眩暈,全身倦怠,悪心・嘔吐,頭重・頭痛,パーキンソン病態,耳鳴,睡気,食思減退,言語障害,振戦などの身体症状と,運動不安,多動・多弁などの精神症状がみられたが,1mg以下の場合には,全身倦怠および睡気をわずかに認めるのみで,両群の間にいちじるしい差異を示す。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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