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文献詳細

雑誌文献

精神医学3巻8号

1961年08月発行

文献概要

研究と報告

うつ状態に対するAmitriptyline(Tryptanol)療法

著者: 桜井図南男1 疋田平三郎1 西園昌久1

所属機関: 1九州大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.713 - P.721

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 近年,精神科領域の治療上に,かなり大きな進歩があつたもののひとつとして,うつ状態に対する薬物療法がある。近代的な精神治療薬の最初のおとずれは,Phenothlazine化合物であるChlorpromazineのこの方面への導入であるが,その後周知のように種々の薬物が精神治療薬として登場し,それら薬剤のうち抗うつ作用をもつものが,うつ状態の治療にこころみられてきた。いわゆる抗うつ薬はその作用のうえから 1)Neuroleptics,2)Stimulants,3)Energizers,4)Thymolepticsに分類される(1)。それぞれ,作用に特徴があつて,一がいに抗うつ作用の優劣を論じるわけにはいかない。
 さて,Thymolepticsという言葉はKuhn(2)が名づけたもので,情動調整剤と訳されているが,Imipramineが抗うつ作用をもつことを発見し,その作用が従来の鎮静薬,静穏薬,刺激薬とは趣きを異にし,うつ病の障害部位Dysordinations-punkteに選択的に作用するものであろうと考えた。Imipramine(Tofranil)がうつ状態の根本的改善作用を薬理学的にもつかどうかは別として,治療効果についてはすでに定評のあるところで,日常の臨床において欠くことのできない薬物とされている。ただ傾眠,鼻閉,口渇,低血圧,振せん,発汗などの副作用がかなりあらわれることが欠点である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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