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研究と報告
文の失読について
著者: 井村恒郎1 木戸幸聖1 松山巌1 阿部洋太郎1
所属機関: 1日本大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.759 - P.765
文献購入ページに移動この2つに加えて,近ごろAjuriaguerra et Hécanは,同じように症状論的にみた失読の別の1群として「文の失読」(alexie de phraseを区別できるといつている。これは文の水準における失読で,字や語を単独にみせれば読むことができるが,文になると読みくだすことができず,文意も正しくとらええない場合である。そして,主として文中の名詞や動詞を読み,前置詞とか接続詞などの文法的な役割をはたす部分を無視したり読み誤つたりする。彼らによると,この文性失読は,その程度や様態においては多種多様であるが,文の読みにさいしてだけあらわれる失読という点が共通しているという。彼らのように「文の失読」という言葉は用いていないが,失読の回復過程において,同様の現象たとえば,文を読むにあたつて接続詞や前置詞などの「文法的な部分」の失読や錯読のあらわれることは,LangeやCritchleyなどの綜説的な論文のうちにも記述されている。
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