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文献詳細

雑誌文献

精神医学3巻9号

1961年09月発行

研究と報告

酒精てんかん—とくに臨床・脳波所見について

著者: 鈴木昭男1 福島裕1 桜田高1

所属機関: 1弘前大学医学部神経精神科 2弘前てんかん研究所

ページ範囲:P.767 - P.772

文献概要

 従来,酒精てんかんとよばれているものの概念はかなりまちまちである。まず酒精に関連して発作をもつ場合という広い意味で用いられるときは,慢性酒精中毒および頭部外傷・脳血管障害その他種々の因子の併存状態も否定できなくなるであろう。これに反してふだんはなんらの障害がないのに,飲酒したときにのみ発作を生ずるもの,換言すれば飲酒によつて生ずる生体の酒精反応としててんかん発作が発現する場合を狭義の酒精てんかんとみなすこともあながち無理ではあるまい。われわれは酒精てんかんの定義を後者の場合にのみ限定して本稿を進めたい。すなわちUngerleider12)がのべているように「飲酒しなければ決しててんかん発作をおこさないもの」をのみ酒精てんかんと考えるものである。
 ところでこのような意味での酒精てんかんの報告は比較的少ない。またわが国では著者の調べた範囲では最近の文献でもかかる意味でのてんかん,とくにその脳波所見の報告はみられないようである。以下われわれは上述の意味での酒精てんかんの4例について,とくにその脳波所見を中心に報告する。なお飲酒歴のある時期以後から発作があらわれ,しかも飲酒によつて著明な発作頻発をみたが,種々の因子が併存していて狭義の酒精てんかんとは思われない1例を付記し,酒精てんかんと比較してみたい(第1表参照)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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