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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻1号

1988年01月発行

文献概要

研究と報告

Gilles de la Tourette症候群の精神医学的研究—(1)症状論的検討

著者: 斉藤幹郎12

所属機関: 1順天堂精神医学研究所付属順天堂越谷病院 2順天堂大学精神医学教室

ページ範囲:P.35 - P.43

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 抄録 DSM-Ⅲの定義を満たす17名のGilles de la Tourette症候群の患者を,初診時年齢13から23歳の年長群10名と7から10歳の年少群7名に分け,運動性チック,発声チック,汚言,強迫的症状および症状出現の経過を検討した。運動性チックでは全例が複雑運動を含む多発性チックを示したが,複雑運動は年長群では意識された,強迫性をおびた症状となりより複雑な行為強迫症状との連続性を認めた。発声チックから汚言まではやはり連続性を示し,汚言が汚言として成立するには社会的規範を破ることを認識する必要があると推定した。各症状を患者が意識した場合は「してはいけないことをやってはいけない,しかしやりたい,やれば苦しい」という共通の構造を示し,またチックに内在する同一の繰り返しが各症状に保持されていると考えた。そして年齢の発達が強迫的症状,汚言の出現にとって必要であると結論した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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