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展望
ドイツ精神病理学の動向
著者: 木村敏1
所属機関: 1京都大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.1062 - P.1072
文献購入ページに移動I.はじめに
現在のドイツ(語圏)精神病理学に昔日の面影はないと言われるようになって既に久しい。確かにここ四半世紀の生物学的精神医学の発展は,ドイツにおいても精神病理学から"基礎精神医学"の座を奪ってしまった感が強い。しかし改めてドイツ精神病理学の現況をまとめてみると,個々の代表的な研究者の仕事に関するかぎり,やはり"本場"の強みを失っていないという印象を否めないのは筆者一人の偏見であろうか。
ドイツ(および日本)の精神病理学については,すでに最近長井と宇野が,問題意識を明確にした優れた展望59)を書いている。そこでここでは,与えられた紙幅内でできるかぎり大きな視野に立って,最近ほぼ10年(特にここ数年)の動向を広く浅く捉えるという逆の方向をとることにした。当然長井らの展望と重複する部分もあるが,両方を合わせ読まれることを希望したい。
現在のドイツ(語圏)精神病理学に昔日の面影はないと言われるようになって既に久しい。確かにここ四半世紀の生物学的精神医学の発展は,ドイツにおいても精神病理学から"基礎精神医学"の座を奪ってしまった感が強い。しかし改めてドイツ精神病理学の現況をまとめてみると,個々の代表的な研究者の仕事に関するかぎり,やはり"本場"の強みを失っていないという印象を否めないのは筆者一人の偏見であろうか。
ドイツ(および日本)の精神病理学については,すでに最近長井と宇野が,問題意識を明確にした優れた展望59)を書いている。そこでここでは,与えられた紙幅内でできるかぎり大きな視野に立って,最近ほぼ10年(特にここ数年)の動向を広く浅く捉えるという逆の方向をとることにした。当然長井らの展望と重複する部分もあるが,両方を合わせ読まれることを希望したい。
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