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文献詳細

雑誌文献

精神医学30巻10号

1988年10月発行

研究と報告

Gilles de la Tourette症候群の成因の検討—症状と幼少時類似行動との比較

著者: 野本文幸1 高橋隆一1

所属機関: 1群馬大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1081 - P.1088

文献概要

 抄録 Gilles de la Tourette症候群8例(全例男子)における汚言症,語句の強調,反響言語,反響動作,汚行症copropraxia,唾吐き症状の6症状の出現頻度,各症状に対応する類似行動(例えば,汚言症と汚言症様発言)の患者の発症前幼少時における出現頻度,一般小児における類似行動の出現頻度を検討した。その結果,第一に,発症後の症状と発症前の類似行動との間に相反関係が見出された。つまり,発症前に類似行動が認められた場合には対応する症状は出現せず,症状が出現した場合には発症前に対応する類似行動が認められなかった。この結果より,本症候群には発達上の遅延があることが示唆された。第二に,一般小児に高頻度に認められる類似行動に対応する症状は低頻度であり,一般小児に低頻度な類似行動に対応する症状は高頻度であった。特に,一般小児で低頻度であり患者群で高頻度であったのは,語句の強調であったことから,本症候群を特徴づける症状は「発声の様式の異常」であると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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